2012/01/12

懐かしのオーケストラ

今日は、フライブルク・バロック・オーケストラの公演を聴きに、オペラシティへ行っていました。このオケは、私が留学していた土地の、看板オーケストラのような存在だったので、聴いた後、ドイツにいた10年前が急に懐かしくなってしまいました。

フライブルクと言えば、シュヴァルツバルト(黒い森)に囲まれた、緑と自然が豊かな土地です。景色は抜群に美しく、静かで、しかもエコシティ(環境都市)なので、街にはゴミがほとんど落ちていません。清潔で住みやすい土地でした。地元で暮らす人も、質素で親切。それに治安もいいので、留学生が勉強するには快適な環境だったのを覚えています。(せいぜい自然と戯れるくらいしか、娯楽もないわけで…私がしていたのはサイクリングと水泳。時々、湖へ行っていました。)

で、そんな街の駅前に、ひとつだけ、立派なコンサートホール(konzert haus)がありました。そこで定期公演を行っていたのが、F・B・Oです。驚くべきは、この公演にいくと、普段地味に生活しているドイツ人たちが、すっかりおめかし(!)をして音楽を聴きに来ていたこと。’おしゃれ’とは、程遠い生活をしている地元の人たちのその姿は、実に華やかで、生き生きとして意外でした。彼らにとっては、コンサートに出かけることが一大イベントであり、また友人や知人と集える社交の場だったのですよね。その姿を、私はいつも微笑ましく眺めていました。フライブルク・バロック・オケの公演ポスターは、いつも街中に貼り出されていたので、私も、もちろん楽しみにして、毎回聴きに行っていました。

日本にも、こういう風に音楽が浸透すればいいのに…という話は、今は置いておくことにして、とにかく今日は、そんなドイツの生活を懐かしく思い出しました。当時、慣れないドイツ語を浴びるように聞きながら、ドイツ人による、ドイツ音楽に接すると、アクセントや歯切れがものすごくよくて、流れも自然で、妙に納得がいったのを覚えています。演奏の好みはいろいろあっていいと思いますが、私は、言葉と音楽の関係についてのヒントを、このオケを聴きながら、いつも得ていました。それは、いまでも、ずっと自分の引き出しに大事にしまってあります。いつか、またヨーロッパに留学したいな!

今日聴いたのは、バッハの管弦楽組曲全曲。素晴らしかったです。