2012/02/12

ドイツ留学記

早いもので、ドイツから帰国してもうすぐ10年になります。(=演奏家として活動を始めて10年!)時々、留学生活のことを思い出すので、少しずつ当時のことをここに書いていくことにしました。楽しいことも大変なこともありました。そんな貴重な体験は、覚えているうちに書かないと忘れてしまいそう。不定期エッセイになりますが、どうぞお楽しみに!



◆ドイツ留学記(98年~2002年) その1〜準備

留学の準備を始めたのは96年、桐朋音大の4年生の時です。最初はヨーロッパのどの国へ行きたいのか、どの先生につきたいのか、自分でもさっぱり分かりませんでした。ただ自分の中ではっきりしていたのは、「今の自分には、プロとしてやっていける自信も技術もない。もっと勉強してから演奏活動を開始したい。」そして、「ヨーロッパ文化を肌で感じたかった」という二つの思いです。

桐朋在学中は、恩師の先生のことでひどく苦労していたので、まずはヨーロッパのあらゆる講習会に参加して、師事したいと思う先生を慎重に選ぶことからはじめました。音楽は感性の世界でもありますから、先生と生徒の相性はとっても大切なのです。
結局1年かけて、イタリア(ヴェネツィア)のK・ギルバート、ポルトガルのK・ハウグサン、フランスのN・スピート、A・ジルベライシュ、そしてドイツのR・ヒルなど、あらゆる先生の講習会に参加して廻りました。細かく教える先生、「もう上手だからあとは自分で工夫しなさい」という先生などいろいろいましたが、’この先生こそ、私が出逢いたかった方!!’と感じたのは、フライブルク音大のヒル教授でした。斬新なアイディアに溢れ、『バロックはもっと自由に演奏すべきだ』という考え方に大いに刺激を受けた私は、先生との相性も良さも感じ取りました。自分でいうのもナンですが…私、勘はすごく良いのです。迷わず「弟子にしてほしいのですが」とお願いすると、快くOKを下さり、先生も私を気に入って下さったのが分かりました。それがドイツ留学の準備が始まったきっかけです。日本に帰ってから、早速ゲーテ・インスティテュートに申し込みに行き、ドイツ語の勉強を始めました。


      
♪96年ヴェネツィアの講習会にて。右はK.ギルバート氏。