服装で怒られる!の巻
桐朋の音大生だった頃、鍋島先生が「バロック音楽は、ジーパン穿いて演奏するような曲じゃありません」とおっしゃったのが強烈に印象に残っていたので、なんとなく私は日本ではジーンズを穿かないでいました。もともと小柄だし、スカートの方が好きだったこともあり、ドイツに住んでからも、私はしばらくスカートを穿き続けていました。
ところが、ドイツではスカートを穿いている女の子は珍しかったのです。
学校に行くと、よく「Makiko はいつもスカートだねぇ」「Mini Rock!=またミニスカート!」と言われていましたが、特に気にせず、その格好で過ごしていました。
忘れもしない、ある寒ーい冬の日のこと。
私は、いつものようにミニスカートにロングブーツ、それにロングコート、という出で立ちで、道を歩いていました。そこへドイツ人のおばさんが通りがかり、何やら私に向かって、激しい口調で怒りだします。
「アナタ、なんでそんな格好してるの!!」
「えー、何かいけないことでもありますか?」
「足なんか出して、風邪ひくじゃない!!もっと温かい格好をしなさい!!」
「ひえー。。ハイわかりました」
何で、こんなことで説教されなきゃいけないの?と思いつつも、直感で「これはこの土地でよくある、親切心からくる、おせっかいだ」とわかりました。自分としては、充分温かい格好をしたつもりでしたが、ここは、何せファッションよりも機能性を重んじるドイツ。目立つのは嫌だったし、見ず知らずの人に怒られたので、さすがに私も考え直すことにしました。数日後、しぶしぶカジュアルショップ(日本でいう、ジーンズメイトみたいな店)に出かけて行って、安物のジーパンとメンズのシャツを購入。でも、それを身につけるようにしたら、何だか、急に現地に馴染んだような気分になっていきました。ヨーロッパの友達には「Makiko、その方がセクシーだ」といわれ、全くその意味がわかりませんでしたが、まあ学生だし、服装なんてどうでもいいか、という感じで過ごしていました。
ジーパン生活にも慣れてきた頃でしょうか。
日本から私の母が遊びにやってきて、私を見るなり、言いました。
「なんだか、ずいぶん汚い格好してるけど…。どうしたの。
服、買ってあげよっか?」
服、買ってあげよっか?」
「あのー。私、わざとこういう格好をしてるんだけど!」
今度は、私が哀れな貧乏生活をしている娘に見えたようでした(笑)。
今度は、私が哀れな貧乏生活をしている娘に見えたようでした(笑)。
↑その頃の私。シャツがしわくちゃ…。
どうやら、自然界に馴染む色の方が、ドイツでは好まれるようでした。